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祖父が建てた築74年の古家をリノベーション

祖父が建てた築74年の古家をリノベーション

祖父が建てた築74年の古家をリノベーション

— 親子3代が受け継ぐ家を、これからの100年住宅へ(信楽・甲賀市)

 

はじめに|私 森工務店 代表 森昌智が生まれ育った家

滋賀県甲賀市信楽町にある、祖父が建てた築74年の家。

延べ154㎡の石場建ては、私が生まれ育った場所であり、

親子3代が暮らしてきた大切な住まいです。

30年前までは、田の字型に並んだ和室の襖を外し、

祭りや祝い事のたびに大勢の人が集まり、

賑やかな笑い声が広がっていました。

 

人が大好きだった祖父は、よろず相談を受け、ご近所の困りごとを解決したり、

ボランティアに精を出す人でした。人と人とのつながりを大事にする祖父の思いは

「あなたのためになにができるのか?」という私たちの行動指針にもなっています。

 

今回、この家をフルリノベーションすることになり

“祖父や父の思いを受け継ぎながら、次の世代へ渡す家にしたい”

という想いを込めて計画を進めました。

 

 

74×石場建ての家をリノベーション|安心・安全・快適な家へ 

石場建ての家は、柱を石の上に直接載せる伝統工法でつくられています。

通気性が高く、地震の力を逃がす“しなやかな構造”が特徴ですが、長い年月の中で建物の傾きや性能面の不足も生じます。

そこで今回のリノベーションでは、

・傾きを可能な限り補正

・基礎を新たに施工

・耐震性の強化

・断熱性能の向上(現代基準レベルへ)

といった 「安全で快適に暮らせる家」へアップデートする工事 を行いました。

 

“古き良きものの良さは残しながら、今の暮らしに合った性能を持つ家”

これが今回のリノベーションのテーマです。

 

歴史を刻んだ梁・柱をそのまま活かす|“見せる構造美” で情緒ある空間へ

この家には、祖父や父の仕事の跡が刻まれた

梁や柱が数多く残っています。

そこで私たちは、それらをあえて隠さずに活かし、

歴史を感じられる空間に仕上げました。

特に注目したいのは、

・継ぎ手のない一本物の丸太梁

・大屋根を支える棟木(むなぎ)

・時の流れを刻む柱や梁の色味

 

今では入手が難しく、当時の大工の技と心が宿る貴重な材料を

「化粧(表し)」として仕上げることで、昔の面影を残し、

情緒ある空間へと生まれ変わりました。

 

この土地ならではの心地よさを生かす設計|光・風・里山風景を取り込む家

リノベーションでは、実際に暮らしてきた家の良かったところを徹底的に活かしました。

 

■ 南から入る柔らかな光

信楽の里山に差し込む南光は、家の中を明るくし、冬でも心地よいぬくもりを感じられます。

 

■ 南北へ抜ける信楽の卓越風

この地域特有の風の流れを読み、大きな窓と小さな窓を配置し 自然通風の家 を実現しました。

 

■ 花火が見える窓

昔から家族で楽しんできた「夏の花火」を、これからも同じ場所で見られるよう窓を残しました。

 

■ 人が集まれる居間

祖父の時代のように、家族や友人が自然と集まれる居間を中心に

現代的な動線と使い勝手を加え、人と人がつながる団らんスペースに仕上げました。

まとめ|後世へ受け継がれる家へ

今回のリノベーションの目的はただの「改修」ではなく、

次の世代が安心・安全に暮らせる耐久性の高い家にすること。

・伝統工法の良さを残す

・構造・断熱・耐震を現代レベルへ

・歴史ある素材を最大限に活用

・風土に合った暮らしやすさを追求

 

これらを組み合わせることで、74年前に祖父が建てた家が

これからの100年を生きる家へ生まれ変わりました。

信楽という土地で育まれた光や風、里山の景色、そして祖父の想い。

それらを受け取りながら、現代の暮らしに合う快適性と性能を備えた

新しい古い家が完成しました。

 

リノベーションモデルハウスは来年1月にオープンする予定をしております。

1月18日に開催するお披露目イベント、ぜひお越しください。

 

 

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